四百億のムダ金
新銀行東京(石原銀行)に四百億円の支出が決定した。都民負担は1世帯当たり六千円強のドブに捨てるに等しいムダ金であると聞くと、改めて怒りの念が湧き上がってくるのを覚える。
傲慢、独善、無反省、居直り、開き直り等々、新聞の論調も同じようなものだったが、都議会与党の賛成で決定した段階で記者団の質問に答えた石原慎太郎知事は、「世論を気にしていたら政治はできない」とうそぶいた。その言葉を聞き、彼が世論を操作・悪用して失敗した銀行課税の1件を思い出した。
あれは、「貸し渋り」、「貸しはがし」で銀行に世間の怨嗟の声が集中しているときだった。絶対多数の都議会"オール与党"の賛成で銀行課税の制度がスタートしたが、私は、提案者の石原知事の発想には、いかにも彼らしいファシズムの手法を感じ取っていた。それゆえに、その後の銀行側が提起した訴訟では都が敗訴することを願い、判決で知事の思いつきの施策が退けられたときには溜飲が下がったものである。
税源をどこかに求めるとしても、消費税のように広く課税するには必ず猛反対があるが、自分に関係のない特定の業種、団体、民族等に犠牲を強いる場合は、残念ながら世論がそれを支持する傾向が見られる。それを見越して行う世論の操作は、前述したようなファシズムの手法であり、極めて危険である。
歴史を遡るまでもなく、近年のヨーロッパ諸国(英国、イタリア、オーストリア、オランダ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、フランス等)は、右翼政党の進出が大きな問題となっているが、共通点は移民問題である。イスラム諸国などからの移民を制限し、追い出すことで、自国の雇用の確保や治安の向上を実現しようというもので、長い間、高失業率に悩んできた国の人々の不満を吸収し、左翼政党の支持者も右翼を支持する傾向があったという。
戦前の教育を受けた者の目で半世紀を振り返り、このヨーロッパの現象を我が国に置き換えてみた。そこから見えるのは、石原氏が今後、外国人(特に中国の人々)に対する不当な施策を考える恐れである。そのとき、"世論"の雪崩現象が起きないとも限らないと、昨今の総右傾化の世相を危惧している。これが杞憂に終われば幸いである。
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