議会の怠慢が違法支出を見逃す

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 政務調査費の乱脈な使途が市民の前に明らかになった震源地、目黒区議会と品川区議会は、「台風一過」という感じで着々と改革が進んでいる。

 目黒区議会は、議員同士の凄まじいばかりの監査請求の応酬があったが、結果として、区議会の自律性を明確にする条例の改正を行い、議長に収支報告書の調査と議会への報告を義務づけた。また、使途基準以外の経費の支出があると認めたときは区長に報告し、区長が返還を命ずることができると規定したのである。品川区議会もその方向で種々検討が進められている。

 これが、私が口を酸っぱくして求め続けている議会の自律性というもの。

 一方で、収支報告書に領収書を添付するだけでお茶を濁している、自律性の意識のかけらもない怠慢な議会の多さには、ただただ驚くばかりである。

「何か問題があれば、市民から監査請求が出る。監査委員に任せておけばいい」と言う議員がいるが、それは議会の調査権を否定する、責任放棄の考えであることに気がつかなければならない。

 ここに上げるのは、怠慢な市議会が見逃している、現在進行形のある議員の違法支出の実例である。

 

 ある議員が議長に提出した政務調査費の一件書類を見て、「おやっ」と気づいたところを私が突いた。「貴方は〇月〇日、政務調査費で同じ雑誌を同時に百冊購入している。書籍の購入が認められるといっても、参考図書なら一冊までだ。貴方の議会ではチェックしないのかもしれないが、監査請求が出たら、九十九冊分は不適切な支出として返還をしなければならなくなると思うよ」

 返ってきた言葉は、「市のことが記事に載っているので、市民や支持者からほしいといわれたので配ったのですが、まずいですかねえ」

「まずいね。政務調査費は交際費ではない」

「じゃあ、個人で買えということでしょうか?」

「カネがどこから出たものでも、選挙区の人に有価物を無償で配布する行為は公選法違反に問われる。動かぬ証拠が議長のところに五年間保存されているのだから、誰かに感づかれて告発されたらアウトだね。公民権停止で議員失格だ。誰も気がつかないとはー、皆さん鈍いねえ」

「???」

「普通の市民感覚があれば、こんな買い物はしない。政調費は『使い切らなければ損』と思っているの?」

「--」

「支持者がほしいと言ったときはコピーを渡せばいい。著作権の関係があるから余り勧められないが」

「はあ、今度から気をつけます」

「じゃあ、念のため、その前年度の領収書を見せてください」

「もう捨ててしまいましたがー」

「どこの議会でも、条例で五年間の保存・保管の義務が規定されているはずだ。なぜ捨てたの?」

「もう必要がないと思いましたし、他の会派も捨てたと思いましたので」

「他はどうでもいい。何回も言うが、確証もなく他の会派や議員のことを口にするのはよくない」

「--」

「今後、条例に遡及適用が規定されたら提出が義務づけられ、大変なことになるよ。条例を無視するようでは、市会議員は務まらないね」

「--」

「ところで、研修会の参加費用に充てるのはいいとしても、私なら、その後の懇親会の会費は政調費から落とさないよ」

「ダメですか?」

「ダメかどうかではない。飲み会のアルコール類に公費を充てるのには抵抗がないですか? 要するに姿勢の問題ですね」

 この例のように、私が(私だから?)一目で分かる違法な事実が見逃されている。これは、議会総体が互いにかばい合い、怠慢・無策を決め込んでいるところに原因がある。もちろん、議員の資質とモラルの低さが最大の問題点であるのは言うまでもないことだがー。

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ふくお ひろし

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