有権者の心を読め
民主党の前原誠司副代表が党内の批判の的になっている。
月刊誌などに「民主党はまともな政権運営はできない」などと、前原氏が小沢一郎代表や党の政策を批判したことを問題視した同党の三人の国会議員が、「前原誠司副代表の妄言を糾弾し、その『退場』を勧告する」と題するメールを民主党の全国会議員に送付したということである。
前代表で、しかも副代表の立場にある人物が、自身も加わって決定した政策を外で批判するのは明らかに反党行為である。「党内抗争はご自由に」と言いたいところであるが、反自民の有権者の一人として言っておきたいことがある。
参院選の同党のマニフェストを一人の有権者の目で見ると、農業者戸別所得補償制度は財源の明示もなく眉唾物に見えた。各方面から「ばら撒き政策」との批判があったが、「ばら撒き」とは現にあるものを配るときに使う用語である。したがって、私の目に映ったこの政策は、有権者を引きつけるための選挙用の目くらましの"毛ばり"程度にしか見えなかった。
今国会の焦点の、高齢者の医療制度、年金、ガソリン税、諸物価の急騰等々、自公政権は何一つとして有効な手を打てないでいる。しかし、政権交代があったとしても、一気に解決するほど国政の運営は簡単なものではない。また、小沢代表が政局にしか興味がないとの認識は前原氏と私は同じである。その小沢氏はかつて自公連立のツユ払いを務めた前科もあるし、大連立騒動で暴露されたように、やたらと古巣の自民党と組みたがる発想の持ち主であることも分かっている。
それでも、先の参院選は民主党などの野党を勝たせたいと願っていた有権者はかなり多くいたはずである。それはただ一点、弱肉強食の自民党政治を取りあえずは終わらせたいとの願望があったからである。つまり、多くの有権者の「切ない思い」を秘めた消極的な支持を含む投票行動がもたらした民主党の勝利である。その認識が民主党には欠けているのではないかと思わざるを得ない。
その有権者の目で見ると、出版社主催の自民党の幹部との座談会での前原氏の所属政党批判は、何かを意図した確信犯的な利敵行為であると考えるざるを得ないのである。しかもその前原氏が、国民にこれほどの格差(貧富の差)を拡大させた元凶の小泉元首相などと共に、政界再編に備えて会合を重ねているとの報道に接すると、「民主党はどうなっているのか? ちょっと待てよ」と言いたくなるのである。
小選挙区では政党本位の選挙になると盛んに宣伝していたのは民主党である。その熾烈な選挙戦の後、一転してガラガラポンで政界再編に動くとしたら、有権者は次の総選挙で何を判断の基準にして投票すればいいのか? その意味では、前原氏の言動は有権者の政党不信に拍車をかけていると言わざるを得ない。
総選挙の後、参議院もいつの間にか、政界再編の名で自民党政権の安定多数が実現するかもしれない。新進党の二の舞いにならないような努力を民主党に求めたい。「分裂するのなら総選挙の前にどうぞー」。これは反自民の有権者のおおかたの望むところである。
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