杉並師範館の???4 「協定書」の効力
奥山たえこ杉並区議から杉並師範館の問題で相談があった日を境に、他の原稿書きを後回しにして関係書類の調査・分析をしていたある日、師範館への初年度の補助金交付は、区が交付の根拠としている師範館との「基本協定書」の締結の前に行われている事実を発見した。
「まさか?」と、改めて補助金の交付の経緯を示す公文書を整理して事務の矛盾点を抉り出すことにした。
師範館は、区が独自の教員を養成する目的で丸抱えで設置した団体だが、あくまでも任意団体である。だが、教育委員会の管理職のおつむの中では、本来の公務と師範館の業務が一体化しているのか、文字通り、「マッチポンプ」のようなことをやっている。
師範館の設立は2005年7月28日。その直後の8月10日、師範館から補助金の交付申請が提出され、それを受けた区は同日、「基本協定書」等の遵守を条件として交付を決定した。だがその時、
肝心の「基本協定書」は存在していない。
一方、交付の決定を受けた師範館は、8月16日に交付請求書を提出し、区は同日、交付命令。8月18日、師範館の銀行口座に請求額の全額2,,800万円を振り込んだ。ここでもまだ、「基本協定書」は存在せず、やっと8月25日に「基本協定書」が締結された。
こうして締結された「基本協定書」の第3条には「-事業を推進するための経費の負担は、--協議して決定する」とあるが、その「基本協定書」がないのを区側は承知の上で師範館の請求(予算)を丸呑みして交付した事実が分かったのである。
そして「論外」と言わなければならないのは、「基本協定書」の最後の条文である。それは第6条に「この協定は、乙(師範館)の設立の日から効力を生じ、この協定の効力発生の日以降に実施する連携事業について適用する」となっている点である。役所と任意団体との約束事だから効力を遡及させることはあるとしても、仮に、区がこの「基本協定書」の第6条をもって、債務の確定前の、しかも区が示した補助金の交付の条件が整わない段階での支出負担行為を「適法」と主張するとすれば、「論外」と切り捨てなければならない。なぜなら、官と民との単なる約束事が法令の効力を左右し、覆すことはあり得ないのは自明の理である。
事務方は、「基本協定書」が後日、確実に締結されると意識して突っ走ったのかもしれないが、締結されるかどうかは当事者が判をつくまでは分からないことだ。このような不適切な行為がまかり通るのなら、訴訟の場で追及を受けている行政の違法行為であっても、利害関係のある民間団体との間に何かの文書を取り交わすことで、全て遡って法令の効果を否定して"救済"されることになる。また、条例等の改正でも同じ効果を得ることが可能となるのである。
"ダメ元"の徹底調査は思いがけない発見につながるもので、こうして共闘の成果は現れた。「あとはないか」と、また疑いのまなこで、改めて師範館の規約に目を通してみた。そしてまた、疑問の事務にお目にかかることになった。
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