政策の修正が命取りに

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 民主党は7日、衆院選マニフェスト(政権公約)に掲げた「日米自由貿易協定(FTA)」について、「締結」の表現を「交渉を促進」に変更するなどの修正文を発表した。

 マニフェストの修正という失態については、党内の詰めの甘さを指摘する報道もある。せっかく戸別所得保障制度で農業者の期待を集めながら、この件で生じた不信感を払拭して関係者の信頼を回復するのは容易ではないだろう。私が関係者なら今後も党の政策は懐疑的に見る。一部のものが思いつきで政策を並べているのだろうが、この件でチェック体制の不備と、政策の党内論議がない事実がくしくも証明されたのである。その上、修正発表の日には早くも、同党の小沢一郎氏は鹿児島での記者会見で、「戸別所得補償制度を作るので何も問題ない」と指摘。「農協が一方的にわいわい言っているケースもあるようだが、全くためにする議論でしかない」と述べ、修正は必要ないとの認識を示したという。
このようなことが不信感を増幅させている。党の実権を握るといわれている小沢一郎氏は細川政権時代に、「消費税を廃止して国民福祉税を創設する」と突然、細川首相に記者会見で言わせた前科がある。当時の官房長官の反対でその企みはついえたが、何を画策するか分からないとの不信感は今でも深く脳裏に刻まれているのである。
今回の修正はブレか、言葉によるごまかしなのか判然としないが、政権交代後にホゴになる可能性を秘めているほど先行き不透明なことは明らかだ。私は政権交代が確実と考えるほど楽観主義者ではない。したがって、仮に民主党が比較第1党になれなかったときの"敗因"の多くはこの件で生じた不信感によるものと考えるだろう。
また、知事会や全国の農業団体の声のように大きくないのでマスコミは関心を示さないが、各党の政権公約にある選挙制度の違いが私の関心事である。民主党は、比例区を80議席削減すると公約。一方、与野党逆転後に民主党と連立するとみられる社民党は、「多様な民意を反映する比例代表中心の選挙制度への改革をめざします」と掲げている。共産党は「民意を切り捨てる比例代表定数削減に反対し、選挙制度の民主的改革をおこないます」と発表している。与党の公明党は、衆議院の中選挙区制の復活と定数減を、参議院は大選挙区制で定数削減を主張している。
社民党が連立に加わったとき、党の存亡にかかわる選挙制度の改悪を社民党が呑むとは考えられない。だが、社民党が一夜で党是にひとしい政策を投げ捨てた前科のある自社さ政権の経緯を参考に、「どうせ社民党は下駄の雪」と、民主党が自党の公約どおりに突っ走る恐れがある。逆に社民党の顔を立てれば公約不履行になる。その場合は、先の記者会見で鳩山由紀夫氏が大見得を切ったように、公約不履行で鳩山氏が責任を取るのか、あるいは、そのときには与党になりたくてうずうずしているであろう、自民党からの"分裂新党""との連立の組み換えを図り、社民党を切り捨てるのか? 総選挙の後も、一夜にして敵味方に分かれることのある、政治の世界の非情な駆け引きは続くことだろう。

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ふくお ひろし

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