経歴詐称は犯罪
報道各社が民主党衆議院議員の"身体検査"をやっているようである。
今のところは、捜査の対象になっている鳩山由紀夫首相の献金虚偽記載が悪質性で目を引く程度だが、献金記載漏れは何人かが明らかになっているなかで、原口一博総務相のケースは立場上、お粗末だ。
また、さまざまな職業に就いていた過去をほじくり出された女性議員がいる。だが、有権者を騙したわけでもなく法令違反でもない。何ら問題はないと思うが、どこかが書くと各社が面白おかしく後追いする。気の毒な気がした。
今のところは出てこないようだが、せっかくの当選が無効になる例としては学歴の詐称がある。選挙関係の書類に記載する経歴に虚偽事実を公表して当選し、その後に虚偽の経歴が分かると身の破滅となる。07年の世田谷区議会議員選挙でトップ当選した民主党の若い議員の例では、外務省の外交官だった頃の地位を偽り、三等書記官だった身分を一等書記官と書いたために、詭弁を弄する抵抗むなしく議員辞職に追い込まれた。その事件の少し前、やはり選挙時に同じ政党の国会議員が公表した米国の大学の経歴に虚偽のものがあると暴露され、証明することもできずに弁明も空回りして辞職した。前記の"一等書記官"殿は、知らなかったのか、ばれないとでも思ったのか? 有権者を騙すのは悪質である。
当時の世田谷区議会で、その事件を契機として当選者の経歴を公表する条例の検討が始まるとのニュースを見て驚いた。これは人権問題である。公職選挙法では虚偽事実の公表には罰則があるが、選挙公報には経歴の記載は義務付けられていない。また、立候補の届け出の書類には職業を書くことにはなっているが、無職と書くのが嫌な人で自治会長と書くこともある。自治会長を職業とみる人はいないと思うが、だからといって自治会長の経歴がある限り虚偽記載には当たらない。
公民権があれば、人に知られたくない過去を隠してでも立候補が可能である。たとえば、一定の年月を"塀の中"で懲役刑に服した人もそうだ。その経歴を暴くのは著しく正義に反する行為である、と私は思っている。
学歴だけで言うと、在学したことを公報に載せるとき、中退なのに「卒業」と書くと虚偽事実の公表となる。そこで知恵のある人は「○○大学に学ぶ」と書く。これで中退でも聴講生でも、完全にセーフとなる。自前の経歴書には「〇〇大学法学部卒」と書いたのに、新聞記者のしつこい問い合わせにあい、新聞に載る学歴を「〇〇大学法学部通信教育部卒」と書き換えを求められた市長が武蔵村山市にいた。通信教育に引け目を感じていたようである。
「元○○市議会議員」「元○○党衆議院議員」と印刷した名刺を目にして驚いたことは数知れない。このような人物は、議員の経歴を特別に名誉のある身分と思っているのだろう。弔電にも「元○○議員」と書く人がいる。「元議員」は経歴ではあるが、辞めた後の肩書ではない。だが、それを貰ってありがたがる有権者もいるのだから、まさに世はさまざまなのである。
経歴はともかく、多くの公約を羅列すれば人気が出るとばかりに、実現不可能な事項を公約に挙げるのは詐欺的行為である。公選法を改正して、任期中に質疑・質問や議案提案等で政策実現のための努力をしていない議員には、これも虚偽事実の公表として刑事罰を科すようにすると、選挙と政治はもっと面白くなるに違いない。
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