議会改革には荒技を
河村たかし名古屋市長は、11月20日から始まる定例議会で公約の「市民税10%減税」と「地域委員会」が原案通りに可決されても、もう一つの重要公約である議会改革案が否決された場合は、直ちに議会の解散請求(リコール)に向けた署名集めに入る方針を明らかにしたという。
議会の改革では、議会定数と議員報酬を大幅に削減する条例案を定例会に提出し、定数は75からの半減、報酬は年1500万円から800万円への削減を念頭に置いているという。そのうえ市長は、依然高い市民の支持率を背景に、条例の否決を受けたときは直ちに議会のリコールに踏み切るように態勢を整えているという。
市長は6月議会に自らの給与年額を約800万円にする条例案を提出して可決されている。市長の給与引き下げに賛成した議員が、自身の報酬の引き下げに反対するのは難しい。だが、反発するのは必至だ。市長と議会側の対立は間違いなく深刻化する。①住民税の減税②公務員叩き③議員の定数削減と報酬の引き下げーいずれも市民受けのする主張である。リコール成立で選挙になれば、なだれ現象が起きるのは確実とみる。
私が勧める荒技
市長は、「(地方自治体の首長は)強大な権力を与えられた大統領のように言われるが、違う。条例提案権はあるが決定権は議会にある」と指摘したという。だが、それは違う。首長には絶大な権限(法179条)が付与されている。もちろん、乱用すれば物議を醸すこと必至ではあるが、理屈はどうにでもつけられるもの。処分(注・専決という)後、議会に承認を求めなければならないが、不承認でも処分の効力は有効である。そしてこの処分は、原則として議会の議決を要する事件(法96条)すべてに行使できるのである。
全面戦争を辞さないのであれば、先手を打って喧嘩するのは戦いの常道。具体的には①次の選挙からの議員定数を半数にする②議員報酬を新年度から月額45万円に引き下げる③1人当たり月額50万円の政務調査費を廃止する④1日当たり1万円の費用弁償を廃止するーこれらの条例を市長が処分するのである。
議会に多様な意見を反映させるためには定数が多いほうがいい。だが、名古屋市議会にはショック療法が必要なようである。議員経験者として言えば、議員報酬の月額45万円は決して少なくはない。政調費はなくてもいい。費用弁償の廃止は全国的な流れである。念のために書くが、現職時代の私は、妻のパートの収入に支えられたこともあったが、兼職せずに議員報酬だけで生活し活動していたものだ。
よくも悪くも「議員叩き」と「公務員叩き」は選挙の票になる風潮があるから市長支持派が勝つと思うが、リコール不成立の場合でも、市長の処分で議会改革だけは先取りできるのである。また、リコールの出直し市議選挙後に条例を審議するより、早期に市政の混乱を収拾するにはこの手の荒技が有効である。仮に、市長支持派が過半数を確保できなくても、議員には条例の提案権はあるが予算の提案権はない。市長の強硬手段に不満があっても、議員報酬、政務調査費、費用弁償等を元の額に戻すことはできないのである。
この記事へのトラックバック(0)
トラックバックURL: http://fukuohiroshi.net/mt/mt-tb.cgi/270

